イタリアのサラダは、葉物へドレッシングをかける一種類の料理ではありません。地域、季節、家庭によって、トマト、パン、豆、魚介、じゃがいも、柑橘などを使う多様なサラダがあります。日本で「イタリアンサラダ」と呼ばれる料理と、現地の具体的な料理名を分けて知ると、食材の組み合わせが見えます。
カプレーゼ
トマト、モッツァレラ、バジルを重ね、オリーブオイルと塩で仕上げます。材料が少ないため、トマトの熟し方、チーズの水分、塩の量がそのまま味になります。バルサミコ酢を加える作り方もありますが、必須条件ではありません。
パンを使うパンツァネッラ
硬くなったパンをトマト、玉ねぎ、きゅうりなどと合わせ、酢とオリーブオイルをなじませる料理です。パンを完全に溶かさず、ソースを吸っても形が残る大きさにします。作り置きで長く置くより、食べる少し前に合わせます。
魚介とじゃがいものサラダ
ゆでたたこ、じゃがいも、パセリ、レモン、オリーブオイルを合わせる構成は、葉物がなくてもサラダになります。たこは加熱済みの商品を使い、じゃがいもが温かいうちに塩と酸味をなじませ、冷めてから魚介を合わせます。
豆と野菜のサラダ
白いんげん豆、トマト、玉ねぎ、ハーブを合わせれば、豆が主役の一皿になります。缶詰は汁を切り、必要に応じて表示どおりすすぎます。ツナを加える場合は、油漬けか水煮かでソースの油を調整します。
名前より季節の材料を見る
「本場風」にするため輸入食材を増やす必要はありません。旬のトマト、葉物、豆、魚介を、塩、酸味、オリーブオイルでシンプルにまとめる考え方を応用できます。料理の由来を一つに断定せず、地域差や家庭差を尊重します。
BouleVardは神戸三宮で、国産野菜と新鮮な魚介、自家製ドレッシングを組み合わせています。イタリア料理店ではありませんが、素材を主役にして酸味と油でつなぐ考え方はサラダボウルにも通じます。家庭で試すなら、カプレーゼ、パンのサラダ、豆のサラダのように、主役が違う三皿から始めると多様さを実感できます。
塩・酸味・油を入れる順番
洗った野菜の水分が残っていると、オリーブオイルを増やしても味がぼやけます。まず十分に水を切り、塩を少量なじませ、酢やレモンを加え、最後に油で全体をまとめます。トマトやモッツァレラから水分が出る料理は、食卓へ出す直前に仕上げます。
パンツァネッラでは逆に、その水分をパンへ吸わせることが料理の一部です。ただし、柔らかい食パンを長時間浸すと粥のようになるため、硬くなったパンを大きめにちぎり、少しずつ汁を含ませます。豆のサラダでは、温かい豆に酸味をなじませ、葉物を使うなら冷めてから合わせます。同じ「イタリアのサラダ」でも、水分を切る皿と吸わせる皿がある点が面白さです。

