フランチャイズに参入する際、「利益率」は避けて通れない重要な評価軸です。
いくら売上が高くても、最終的に手元に残る金額が少なければ意味がありません。
この記事では、「フランチャイズ 利益率」というキーワードに焦点を当て、業種ごとの傾向や、利益率を正しく判断するための視点、そして本部が提示する数字の裏側を読み解く方法について解説します。
利益率とは何を示すのか?
利益率とは、売上高に対してどれだけの利益が残ったかを示す割合であり、以下のように分類されます。
- 粗利益率(売上総利益率):売上から仕入原価を引いた粗利の比率
- 営業利益率:粗利益から人件費・家賃などの経費を引いた割合
- 純利益率:営業利益から税金や借入返済などを差し引いた最終的な利益の比率
フランチャイズでは、一般的に営業利益率または純利益率が重視されます。
営業利益率で10%を超えると「安定している」と評価され、20%以上あれば「非常に収益性が高い」と言えます。
業種別フランチャイズの利益率目安
飲食フランチャイズ
- 平均利益率:5〜10%前後
- 食材原価が高く、かつ人件費や家賃の固定費もかさむ
- ロイヤリティは売上の3〜10%が一般的
- 高回転率・立地条件が収益を大きく左右する
コンビニエンスストア
- 平均利益率:2〜5%
- 高頻度の来店と薄利多売モデル
- 24時間営業による人件費負担が大きい
- ロイヤリティの構造が複雑で、仕入れ先も限定される
美容・リラクゼーション業
- 平均利益率:10〜20%
- 材料費が比較的安く、人件費次第で利益率が大きく変動
- 自分で施術を担当するスタイルであれば高収益も可能
- 定期的なリピーター確保が安定経営の鍵
訪問・無店舗系ビジネス
- 平均利益率:20〜30%超も可能
- 店舗を持たないため固定費が低い
- スキルや労働力に収益が直結するため、個人の稼働量が重要
- 配送、訪問美容、訪問マッサージ、清掃代行など
利益率を見極める具体的なチェックポイント
ロイヤリティの計算方法を把握する
フランチャイズ本部の多くは、売上の〇%、または売上から原価を差し引いた利益の〇%をロイヤリティとして徴収します。
ここで重要なのは、売上に対しての固定ロイヤリティは、利益が減っても支払額が変わらないという点です。
売上が低迷すると赤字リスクが増します。
粗利率と原価率のバランスを見る
飲食業でよくあるのが、「売上は好調でも原価率が高すぎて利益が出ない」というケースです。
たとえば原価率が50%、人件費が30%、ロイヤリティが10%かかると、残りはわずか10%。
ここから光熱費や雑費を差し引くと赤字になることも。
原価率は35%以下が望ましいラインです。
営業利益率と初期投資の回収年数をセットで考える
利益率だけでは不十分で、何年で初期投資を回収できるかという視点も不可欠です。たとえば初期投資が1,000万円で、年間の営業利益が100万円なら、回収までに10年かかります。一般的には3〜5年で回収できるモデルが理想とされています。
本部の提示する「成功例」に注意
フランチャイズ本部の説明会では、「平均月商300万円、利益率20%」などのシミュレーションが提示されることがよくありますが、それがすべての加盟者に当てはまるとは限りません。
その数字が「都心の一等地・ベテランオーナー」の条件下での結果である可能性もあるため、以下の点を確認しましょう。
- 平均値ではなく「中央値」の提示があるか
- 赤字店舗や撤退店舗の比率も公開しているか
- 実際の加盟店オーナーにヒアリングできる機会があるか
利益率を最大化するためにできること
- 自分で現場に立ち、外注コストを減らす
- オペレーションを改善して人件費を抑える
- 継続的な販促・SNS活用で集客を安定させる
- 在庫や仕入れコストの見直しを行う
利益率はあくまで「判断材料の一つ」
「フランチャイズ 利益率」は、事業の良し悪しを判断する上で重要な指標ですが、それだけにとらわれるのは危険です。
高利益率でも労働負荷が大きかったり、リスクが高かったりすれば、長期的には続きません。
最終的には、利益率と自分のライフスタイル、価値観との相性を考慮することが重要です。
たとえば「利益率は低いが手離れが良い」「収入は少ないが好きな仕事で続けられる」など、数字に表れない価値も含めて判断しましょう。
フランチャイズを成功させるためには、「収支構造を正しく理解する力」と「自分に合った業種を見つける力」が欠かせません。
利益率を軸に据えつつも、長期的に無理のない運営ができるかを常に意識することが、後悔しない選択へとつながります。