鶏ハムをふっくら仕上げる鍵は、低い温度で長く放置することではありません。肉の厚みをそろえ、塩を均一になじませ、必要な中心温度まで加熱し、熱いうちに切らないことです。安全条件を守ったうえで水分を逃がしにくい工程を重ねると、むね肉でもぱさつきを抑えられます。
一枚の中にある厚みの差をなくす
約300gの鶏むね肉は、厚い部分へ包丁を寝かせて切り込みを入れ、観音開きにします。薄い端を無理にたたいて破らず、厚い部分だけを軽く押して全体を近い厚みにします。中央だけ太いまま丸く巻くと、外側が乾くまで中心へ熱が届かない原因になります。
塩は目分量にしない
肉の重量を量り、塩は1%程度を全体へ薄く広げます。300gなら3gが目安です。好みで砂糖1〜2gと酒小さじ1を加えると、味が角張りにくくなります。袋へ入れて冷蔵庫で数時間なじませますが、室温で置いたり、消費期限を越えて何日も漬けたりしません。肉汁がほかの食品へ漏れないよう、袋ごと容器へ入れます。
家庭では中心温度を測る
蒸し器、オーブン、加熱対応の袋を用いる方法などがありますが、時間だけでは肉の安全を判断できません。厚生労働省は食肉について中心部75℃で1分間以上、または同等条件の加熱を案内しています。食品用温度計を最も厚い部分の中心へ差し、鍋の湯やオーブン表示ではなく肉自体を測ります。火を止めた鍋へ入れて朝まで置くような余熱任せの方法は、肉の大きさや鍋の保温性で結果が変わります。
肉汁を落ち着かせてから切る
加熱を終えたら清潔な皿へ移し、食べる分は数分休ませます。包丁を入れた瞬間に透明な肉汁が大量に流れるなら、休ませる時間が足りません。保存分は室温に長く置かず、浅い容器や氷水を使って速やかに冷やし、冷蔵します。生肉に使った包丁、まな板、トングは洗浄してから加熱後の肉へ使います。
薄切りにする方向も食感を変える
完全に冷めた鶏ハムを、長く走る繊維に対して直角に切ると、一口で繊維がほぐれやすくなります。厚切りのまま「硬い」と感じる場合は、加熱条件を下げる前に切る方向と厚さを変えてみてください。温かい状態で全部を切ると断面から乾燥するため、食べる分だけ切り、残りは塊で保存します。
BouleVardでは自家製鶏ハムを野菜や雑穀米、ドレッシングと組み合わせていますが、本記事は店舗の製法を公開するものではありません。家庭での再現では、裏技よりも重量、厚み、中心温度、切るタイミングを記録すると、次回も同じふっくら感へ近づけます。

